LINE大賞記事(8番染色体部分重複の疑い)

更新:2023.12.18

12月12日に読売新聞の記事がLINEジャーナリズム賞を取ったとありました。今回、この記事について解説してみたいと思います。記事のリンクは以下のとおりです。

https://news.line.me/detail/oa-mainichi/uluqrjciz5x8

読売新聞はNIPTについてこれまでの多数の記事を書いており、産婦人科学会寄りの記事が圧倒的に多かったのですが、この後半において出生前検査を行うことも全く否定することができない旨が書いてあったことが驚きであった。これまでは無認可施設をで診察をうけるのは、全くもって意味がないぐらいの勢いで書いてあったので、比較的公平なスタンスで書かれている記事でした。それが、LINEジャーナリズム賞を受賞した理由かもしれません。

染色体の一部が欠けていることを欠失、増えていることを重複と言い、NIPTを行ている施設で染色体部分欠失・重複の検査をできるクリニックはとても少ないです。
プレママクリニックや平石クリニックではこの検査はできないそうです。

記事は二つに大きく分かれており、前半は無認可施設で検査をしたところ

8番染色体部分重複の疑い
とNIPT検査で診察された内容についてであった。こちらについて詳しく解説します。おそらく、NIPT検査報告書に8番染色体内のどの領域の重複であったのか記載があるとおもうのですが、今回の記事にはその情報はありませんでした。

8番染色体部分重複については認可施設では行っていない検査のため、否定的な口調で記事が書かれていました。認可施設では13,18,21番染色体のトリソミー(染色体が三本)になるケースしか調べることができません。今回の8番染色体部分重複の疑いは8番染色体の一部が三本(部分重複)になっているという疑いがかかっています。通常このケースにおいても羊水検査をすれば、どこの場所が三本になっているか(部分重複)分かりますので、NIPT検査と合わせて今後起こりうる結果が予想することが可能になります。

当初、この患者さん(仮名麻衣さん)はいきなり中絶しようとしようと考えていたと書かれています。大阪医科薬科大病院産科・生殖医学科の藤田太輔先生から電話をうけて、羊水検査をすることになったと記載されています。

この記事では羊水検査の結果について詳細な記載はありませんが、以下のように書かれていました。

結果は藤田さんの予想通り、特段の症状が出ないタイプだった。

ここから推測するにおそらく、8p23.2の領域の重複であったと思われます。この領域は一定数の割合で重複を持っており、臨床的には影響がないと言われております。重複領域には CSMD1 と呼ぶ癌抑制遺伝子があるだけで、この遺伝子が重複していても表現型に影響しないのです。
では、8番染色体部分重複がすべて疾患と関係ないというと、それも間違いです。有名なところで、

8p23.1 重複症候群とういう病気があります。
8p23.1 重複症候群(8p23.1 duplication syndrome)は、8 番染色体短腕の部分重複に起因する
まれな染色体異常症候群であり、極めて多様な表現型を示すが、主な特徴としては、軽度から
中等度の発達遅滞、知的障害、軽度の特異顔貌(前額突出、アーチ状の眉毛、幅広い鼻梁、上
向きの鼻孔、口唇裂や口蓋裂など)、先天性心疾患(例、房室中隔欠損)などがある。その他、
大頭症、行動障害(例、注意欠如症)、痙攣発作、筋緊張低下、眼球異常、手指異常(多指症/
合指症)が報告されている。(引用: www.orpha.net)

8p23.18p23.2は隣同士に並んだ領域であり、ほんのわずかに重複する場所が変わるだけで臨床症状がかわる領域なのです。この二つの数字は8番染色体の短腕(p)の中央から数えて23番目の領域のさらにその内側の1と2という意味なのです。住所で言うと23−1と23ー2といった具合の隣り合わせの並びです。非常に近い領域の重複であっても症状がかわるため、NIPT検査で陽性であったとしても必ず、確定診断の羊水検査をしてくださいと言われているのはそういった事情があるからです。(羊水検査は胎児の細胞をとって検査することが最大のメリットですが、腹部に針をさして行う検査のため母体、胎児に負担がかかります。)

”NIPTを実施したクリニックが無認証施設で、陽性とされたのも学会指針が認めていない検査項目だったため、検査精度が低い可能性があると考えた。”との内容が記事にありますが、羊水検査の結果とNIPT検査の結果が一致したがどうか、記事に書かずいかにも精度低いと思わせるのは、記事にやや悪意を感じます。今回紹介した推論が正しければ、NIPT検査は母体の採血のみで、胎児の染色体のわずかの変化を正確に検出することができます。部分重複だけでなく、部分欠失も検出すことが可能となっており、それらは他のトリソミー検出と同じ理論を用いて行われています。しかしながら、個々の疾患があまりに稀なために、感度、特異度を計算することが困難です。これらの部分欠失、部分重複は出生時に問題がなくても、成長する過程において血液疾患の発症に関係することがあるとの報告もあります。

医療の原則ですが、いかなる検査においても一つのものだけで結論を出すのは危険です。NIPTがいかに正確であっても、診断に至るまでのプロセスは総合的に考えていく必要があります。NIPT検査が産婦人科分野で否定的に当初受け止められていた原因として、非侵襲的にもかかわらず、NIPTの精度があまりに他の検査とくらべて精度が高いために素直にそれを認めることができない産婦人科医がいたためだと思われます。使い方がわからないといった方が適切でしょう。藤田太輔先生のように遺伝子を深く理解して、診療にあたられている方はまだ少数でしょう。遺伝子検査がもっと理解されていき、通常の検査として確立していく時代が来ることは間違いないです。これほどまで正確なので。

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