キャリアスクリーニングテスト(劣勢遺伝検査)

公開日:2024.06.21

これは重篤な劣勢遺伝子疾患を調べる検査で、通常両親が検査を行い、今後生まれてくる子供が重篤な遺伝子疾患を有するかを予測する検査です。両親の組み合わせによって決まってくるためブライダルテストとして行うこともあります。

米国産科婦人科学会 (American College of Obstetricians and Gynecologists: ACOG)でも広く情報を伝えるべき検査とされています。

まだ、それほど知られていない検査ですが、有名なところでは関根理紗さんの息子がかかった接合部型先天性表皮水疱症があります。これは表皮と真皮の間が裂けやすくなる病気で7型コラーゲンの遺伝子異常で発症します。両親がのちに調べたところ同じ遺伝子に劣勢遺伝子を持っていることがわかりました。次の子供でも発症するリスクがあるため、次回妊娠時には羊水検査をすることによって事前に知ることが可能になります。

さて、以下のは論文からの抜粋ですが、

東アジア系の32.6%からアシュケナージ系ユダヤ人の62.9%の個人が、415遺伝子のうち少なくとも1つの遺伝子の変異キャリアであることが判明しました。カップルに関しては、415遺伝子すべてをスクリーニングすることで、0.17%から2.52%のカップルがこれらの疾患の1つに影響を受ける子供を持つリスクがあると特定されます。キャリア率が1.0%以上の40遺伝子だけをスクリーニングすることで、これらのリスクカップルの76%以上を特定できます。キャリア率が1.0%以上の遺伝子を含む祖先特異的なパネルには、5から28の遺伝子が含まれ、同等のパンエスニックパネルには40の遺伝子が含まれます。

ユダヤ人は62.7%と高めです。これはユダヤ人同士しか結婚しない風習があるからです。日本でも70%程度との報告があり、単一民族の日本人は高くなります。

合計で2,923人のART(補助生殖技術)患者、すなわち1,462組のカップルがスクリーニングを受けました。全体として、46.73%の個人が135の疾患のうち少なくとも1つのキャリアであることが判明しました。テストされたカップルのうち、2.26%(n=33)がリスクカップル(ARCs)として特定されました。この研究の完了時点で、21組(63.6%)のリスクカップルが、単一遺伝子疾患のための着床前遺伝子検査の助けを借りて、影響を受ける妊娠を回避することを決定しました。家族歴のない2,836人の漢民族の個人に対するECSパネルの187の常染色体劣性遺伝子の累積キャリア率は45.91%と推定されました。キャリア率が0.5%以上の上位31遺伝子のみをスクリーニングすることで、全187遺伝子をスクリーニングすることで特定されたリスクカップルの94%以上を特定できると推定されています。

上記の論文では2.26%のカップルが同じ劣勢遺伝子をもっているということが言われています。つまり50組に1組以上です。

この検査はあまり知られていないのですが、胎児の全疾患に対する発症頻度はダウン症よりはるかに大きく、検査のやることの意味は大きいです。

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