最近テレビで9番染色体短腕重複症候群の人が出ていたと聞いたので、調べてみました。その方は30歳になっていると聞いております。実際にはみていないので、正確なところはわかりません。
この疾患は9番染色体の短腕(短い方)が部分的に3本になる疾患です。極めて稀ですが、比較的染色体疾患にしては軽い症状のようです。9pの短腕全体の長さは約22-23メガベース(Mb)です。重複が生じる範囲は、数メガベース(Mb)から、9p全体の約22Mbにわたることがあります。この疾患は出生前に7M以上の重複であれば部分重複の検査を行うことによって検出することができます。
https://rarechromo.org/media/information/Chromosome%20%209/9p%20Duplications%20FTNW.pdf
上記の論文を見る限りでは4例中3例は7M以上であり、一例だけは5M程度であるとのことです。
以下が教科書的な内容です。
9p重複症候群(9pデュプリケーション症候群)は、染色体9の短腕(pアーム)の遺伝物質が重複することで引き起こされる、非常に稀な染色体異常です。この重複は、小さな部分から大きな部分までさまざまで、これにより、身体的、発達的、認知的な異常が現れます。症状の重さは、重複したセグメントの大きさや場所に依存します。
主な特徴:
特徴的な顔貌: 広い鼻根、上向きの眼裂(目の切れ目)、高い額、広い口などの特徴が見られることがあります。
発達の遅れ: 9p重複を持つ子供は、運動能力や言語発達、全体的な発達に遅れを示すことがよくあります。
知的障害: 知的障害の程度はさまざまですが、軽度から中度の知的障害を持つ場合が多いです。
成長問題: 一部の人は成長遅延を経験し、低身長になることがあります。
先天性心疾患: 心臓の異常(例:心室中隔欠損など)が一部の個人に見られることがあります。
筋緊張低下(低筋緊張): 筋肉の弱さがあり、移動や協調に影響を与えることがあります。
診断:
この状態は、染色体マイクロアレイ解析や核型分析などの遺伝子検査によって診断されます。これらの検査により、染色体9の重複が特定されます。
治療:
9p重複症候群の治療法はなく、症状の管理に焦点を当てます。早期介入プログラム(理学療法、言語療法、作業療法など)は、影響を受けた子供の発達を支援するのに役立ちます。また、心臓の欠陥やその他の医学的問題がある場合、それに応じた治療が必要となることがあります。
臨床的な症状の変動性が高いため、各個人の予後は、染色体の重複の範囲や関連する症状に依存します。