認証施設はなぜ21,18,13トリソミーのみ推奨するのか?

公開日:2023.06.01

2011年に初めてダウン症(21番染色体トリソミー)の検査がNIPTで可能になり、その後多くの国ですぐに13,18番染色体トリソミーの検査が追加されました。その理由としては21、18、13番染色体の順で実際に機能している遺伝子の数が多くなるために、ほかの染色体よりもいち早く導入されたのです。その当時にNIPTコンソーシアム(産婦人科学会、小児科学会、人類遺伝学会が共同でたちあげた団体)がGenetechという検査会社と共同でこの三つの遺伝子異常の臨床研究を始めました。この研究はおよそ10年近く行いました。その当時、認定施設のみでこの研究をはじめたため、認定施設と非認定施設といった分類が生まれました。現在この三つしか検査ができないのでは、この団体がはじめからこの臨床研究のみに限定したからです。しかし、その間にNIPTの研究は海外で進みました。いまでは、性染色体、全染色体の異数性(数の異常)、部分的な欠失重複(全常染色体部分欠失部分重複、微小欠失)、単一遺伝疾患の検出などさまざまな検査が可能になっています。しかし、認証施設(旧認定施設)はその検査の選択肢を妊婦に与えていません。(そもそもその存在すら知らないのかもしれません)頻度だけでいえば、性染色体の異数性やデジョージ症候群のほうが13,18番染色体トリソミーより多いです。13,18番染色体トリソミーは多くの場合には重症なので、残念ながら生命予後は悪いです。むしろ部分欠失、微小欠失のほうが臨床症状を抱えたまま、家族と過ごす時間が長いです。そうした検査があることを知らされることなく出産に臨むことはリスクではないでしょうか?

最近認定施設で微小欠失症候群の臨床研究をはじめようというニュースがでていました。しかし実現するのはいつのことかわかりません。10年はかかると思います。

最新の更新記事

RANKING

編集部がおすすめする
NIPT総合ランキング

価格が安いランキング

最新の記事一覧