知的障害を引き起こす先天性疾患には、遺伝子異常や染色体異常、代謝異常など、出生前から存在するさまざまな原因があります。以下に代表的な疾患を分類して紹介します。
NIPTなど出生前にわかるものをは赤字にします。多数の疾患が検出できることがわかると思います。
🧬 1. 染色体異常によるもの
疾患名 | 特徴 | 備考 |
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ダウン症候群(21トリソミー) | 中等度の知的障害、顔貌の特徴、心奇形など | 最も頻度の高い |
エドワーズ症候群(18トリソミー) | 重度の知的障害、成長障害、生命予後不良 | 女児に多い |
パトウ症候群(13トリソミー) | 重度知的障害、奇形、短命 | 頻度は低いが重篤 |
ターナー症候群(45,X) | 知的障害はまれ(軽度の学習障害) | 女児のみ、一部に社会性の障害 |
クラインフェルター症候群(47,XXY) | 男性、軽度の言語・学習障害 | 成人まで診断されにくいことも |
🧪 2. 遺伝子異常による単一遺伝子疾患
疾患名 | 特徴 | 備考 |
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脆弱X症候群 | 男性に多く、発達遅滞・顔貌・行動異常 | X染色体関連、女性は軽度のことも |
レット症候群 | 女児に多く、発達退行・けいれん・手もみ様運動 | MECP2遺伝子変異 |
プラダー・ウィリー症候群 | 筋緊張低下、過食、軽度知的障害 | 父由来の15q欠失または母性片親性ダイソミー |
アンジェルマン症候群 | 発語障害、けいれん、笑い顔、重度知的障害 | 母由来の15q欠失または父性片親性ダイソミー |
🧬 3. 代謝異常症(先天代謝異常)
疾患名 | 特徴 | 備考 |
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フェニルケトン尿症(PKU) | 放置で重度知的障害、特殊ミルクで予防可能 | 新生児スクリーニング対象 |
メープルシロップ尿症 | 異常な尿臭、嘔吐、けいれん、昏睡 | 早期治療で予後改善 |
ホモシスチン尿症 | 高身長、視力異常、知的障害 | ビタミンB6反応型もあり |
ムコ多糖症(ハーラー症候群など) | 顔貌異常、臓器肥大、発達遅滞 | 酵素補充療法の対象疾患もある |
🔍 4. その他の先天性疾患
疾患名 | 特徴 | 備考 |
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胎内感染症(トーチ症候群:TORCH) | Toxoplasma、風疹、CMV、ヘルペスなどによる感染が原因 | 頭蓋内石灰化、視力・聴力障害、知的障害 |
脳形成異常(リスフェンセファリーなど) | 大脳皮質の形成異常により重度知的障害・てんかん | 遺伝性もあり |
頭部水腫(重度) | 脳の圧迫による知的機能低下 | 手術や早期治療で改善の可能性も |
📝 まとめ:早期発見と介入が鍵
- 多くの疾患は出生後早期または新生児スクリーニングで発見される可能性があります。
- 知的障害の重症度や予後は、疾患の種類・合併症・早期対応によって大きく異なります。
- 疑いがあれば小児神経科・遺伝科・発達外来の受診が推奨されます。